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第九話 1582年6月21日

last update publish date: 2026-09-03 15:14:17

 歴史上、本能寺の変が起きた日の早朝。

 もし、この日に本能寺の変が起こらず、織田信長が生き延びて天下統一を成し遂げていたならば、日本の未来はどのように変化していたのだろうか。

 後世における世界の中心は、アメリカ合衆国ではなかったかもしれない。産業革命もイギリスではなく、日本から始まっていたかもしれない。

 そのように評価されるほど、織田信長という人物には、歴史そのものを変える可能性があった。

 本来であれば、その織田信長の命日となるはずだった朝、三上龍之介正圀と明智日向守光秀、そして光秀の配下数人は、本能寺の門前に立っていた。

 龍之介たちは夜のうちに愛宕山を下り、まだ都が眠りから覚めきらない時刻に本能寺へ到着していた。周囲の家々は静まり返り、往来を行き交う人影もほとんどない。東の空がようやく白み始め、朝露を含んだ冷たい空気が、薄暗い京の町を満たしていた。

 本能寺は一重の水堀と塀に囲まれており、寺というより、小さな砦と表現した方が似つかわしい造りになっている。

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